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大学院研究内容

我々の使命は、第一に消化管の生体内における活動や異常を管腔内から精緻に解析することであり、第二に多様な消化器疾患を早期に診断し低侵襲に治療することである。日本の消化器内視鏡分野は、医工領域が共に高い技術を有し、国際的にも先駆的役割を担ってきた。近年は、内視鏡の解像度や光学技術の飛躍的向上によって、消化管壁表層の微小構造や生理現象を細胞レベルで観察可能になり、新たな診断学体系が構築されようとしている。また、工学技術の発展と共に、先進的治療器具や術式が次々に開発され、内視鏡治療の適応は着実に拡大し、すでに消化管癌については外科手術と同等数の症例が内視鏡的に治療されるようになった。大学院教育では、研究のデザインから、手技の実際、データ解析、論文化など、生命科学研究におけるprincipal invesitigatorに求められる基礎能力が習得できるよう個別に指導を行う。我々の研究対象は、消化器癌はもとより、炎症性疾患や神経異常に伴う機能性疾患、さらには管腔外臓器に対する低侵襲診断・治療法や新規医療機器の開発など多岐に渡っており、基礎と臨床、医学と工学、内科と外科など従来の専門分野の垣根を越えた多層的・横断的研究支援を行っていく。消化器内視鏡診断治療学は新しい発展途上の学問であり、大学院生には、従来の研究テーマに束縛されることなく、自らが新たな研究領域を発掘し追求することを奨励する。

研究課題
項番研究課題名
1拡大内視鏡を用いた消化管癌診断
2顕微内視鏡技術を応用した消化器疾患診断学
3分子イメージング技術を応用した新たな内視鏡診断法の開発
4画像強調技術を用いた消化管癌診断法の研究
5EUS-FNA検体を用いた分子生物学的組織診断解析法の開発
6共焦点内視鏡を用いた消化管神経叢の多元計算解剖学的解析法の確立
7巨大データベースおよびパターン分析ソフトを活用した自動診断法の開発
8マイクロバブル超音波分子イメージジング技術による新たな胆膵疾患治療法の開発
9内視鏡的消化管全層切除法の開発
10Sumucosal Endoscopy法を応用した消化管深層を対象とする診断・治療法の開発
11内視鏡ロボットを含めた次世代内視鏡治療プラットホームの開発
12内視鏡外科技術との発展的統合による新しい内視鏡治療法の開発
13Natural Orifice Translumenal Surgery
14内視鏡的消化管全層縫合法の開発
一般目標
項番内容
1消化器疾患に関する形態学的解析法の基礎を習得する
2臨床応用を視野に入れた基礎研究を立案できる
3内視鏡専門医としてのみならず消化器病医として消化器疾患の全体像を捉えることができる広い知識を身に着ける
4生命科学研究者としての公正性、倫理観を身に着ける
5Primary invesitigatorとして求められる基本的技能を習得する
行動目標
項番内容
1変革を恐れず、新しいことに挑戦する気概を持って研究にあたる
2将来の指導者となるべく学問のみならず人格形成に努める
3学内に閉じこもることなく国内外の学外研究者や他業種の研究者とも積極的に交流し真の国際性を身に着ける
4疫学的手法を学び、研究データを妥当な方法で解析する手段を学ぶ
5薬事、医学分野における研究倫理や規制を理解し、社会的に信頼される研究を行う
6常に研究成果を英語論文化として結実させるよう努力する